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ご案内

日本衛生動物学会・東日本支部
第45回例会
 
日時:2005年11月22日(火) 
13:25−16:30 
会場:国立感染症研究所 
共用第1会議室(2階) 

 主催:日本衛生動物学会東日本支部 
会費:無料 (どなたでも自由に参加できます) 

テーマ
虫媒介性の疾病防除において、昆虫防除は重要な対策の一つです。昆虫防除の方法としては殺虫剤によるものが主流ですが、殺虫剤による環境汚染、人体への有害作用の問題等により、殺虫剤によらない方法の研究がこれまでいくつかなされてきました。近年、そのような新しい方法の一つとして、昆虫を分子遺伝学的手法により改変し、昆虫に病原体への抵抗性を付与し、疾病媒介能をなくすことにより疾病防除が行えないか、という試みが始まっています。

 昆虫自身の病原体への抵抗性に関しては昆虫の生体防御システムの研究を必要とし、また昆虫の分子遺伝学的改変にはそれぞれの昆虫に適したトランスポゾンなどの遺伝子導入担体を必要とします。

 本例会ではこのような観点からアプローチを行っておられる3名の方にご講演をお願いしました。

 倉田先生には昆虫の生体防御システムの中で抗菌ペプチドなどを中心とする体液性免疫系の最新の知見をご講演いただきます。嘉糠先生と吉田先生にはハマダラカのマラリア媒介能に関する研究をご紹介いただきます。嘉糠先生はハマダラカのマラリア媒介能に関与する重要な遺伝子を発見され、今後その発現制御による疾病制御を探っておられます。吉田先生はマラリア原虫がハマダラカ体内で特定の臓器に侵入する際に障害となる因子の遺伝子をハマダラカに導入し、トランスジェニックハマダラカの作成に成功されました。

 昆虫媒介性疾患防除における昆虫の分子遺伝学的改変の研究は、ゲノミックス時代の必然とも言える研究であり、今後の発展に大きな期待が持たれる分野です。皆様のご来場をお待ちしております。


オーガナイザー: 高井憲治(聖マリアンナ医大)

 

演          題
昆虫の自然免疫メカニズムについて
  倉田祥一朗  (東北大学薬学部)
13:30-14:10
虫媒介性感染症の対策として、昆虫免疫システムの人為的制御は重要なアプローチの一つであり、本例会のテーマでもある。ここでは、モデル生物であるショウジョウバエの免疫メカニズムについて紹介し、低分子化合物により昆虫免疫システムを人為的に制御し、それにより昆虫媒介性感染症の伝播阻止を目指す我々のアプローチを紹介する。

 昆虫の感染防御の最前線は、表皮や消化管あるいは気管など、直接外界と接する上皮組織での物理的障害と、そこでの抗菌ペプチドやリゾチームといった殺菌活性を有する防御因子の産生である。この障壁をかいくぐった病原体は、体液中で認識され、細胞性と体液性の防御反応により排除される。昆虫が、遺伝子の再編成に頼らずとも、多様な病原体を認識できる機構は、本研究領域の一大トピックスである。最近、ペプチドグリカン認識タンパク質(PGRP)ファミリーの役割が明らかにされ、急速にその解明が進んだ。細胞性反応には体液細胞による貪食、体液性反応にはフェノール酸化酵素によるメラニン化や、抗菌ペプチドの産生誘導が挙げられるが、いずれの反応にもPGRPファミリーが関与する。抗菌ペプチドを産生できないショウジョウバエ変異体は、病原体の感染に対する抵抗性を著しく失うことから、昆虫免疫における抗菌ペプチド産生の重要性がうかがえる。抗菌ペプチドの産生は、Toll経路とimd経路と呼ばれる二つのシグナル伝達系により制御されており、それぞれ抗真菌ペプチドDrosomycinと、バクテリアに作用するDiptericinなどの産生誘導に関わる。我々は、imd経路を阻害するシクロペンタンジオール誘導体TP-1を見出し、TP-1を投与すると、媒介性病原体を保菌する場合に限り、ショウジョウバエが死滅することを見出した。
プロフィール:倉田祥一朗
 1990年東京大学大学院薬学系研究科生命薬学専攻修了(薬学博士)、同年日本学術振興会特別研究員、1991年東京大学薬学部助手、1995年スイス連邦バーゼル大学バイオセンター研究員、1998年より東北大学大学院薬学研究科助教授。
ベクターが内在的に有する抗病原体因子同定への新しいアプローチ
  嘉糠洋陸  (東京大学大学院薬学系研究科遺伝学教室)
14:20-15:00
ラリア症の制圧には、効果的な対策方法の複合的使用が重要であると考えられており、宿主であるヒトを標的とした治療・予防法に加え、媒介昆虫であるハマダラカ属(Anopheles)を対象とした対策も求められている。マラリア原虫がハマダラカ体内に吸血によって取り込まれると、ハマダラカはマラリア原虫に対し、貪食・補体系・自然免疫などの各種免疫反応を介してマラリア原虫を積極的に排除すると推測されている。一方で、ハマダラカは細胞接着因子の提供や未同定の成長補助因子の供給を行い、マラリア原虫の増殖のサポートも行うと考えられている。現在は、これら二つのメカニズムのバランスが保たれることにより、蚊とマラリア原虫の寄生関係が成立しているとされている。しかし、これまで明らかにされているのはごく一部であり、ホストである蚊からマラリア原虫に対して作用する因子群のさらなる同定が求められている。そこで我々は、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を疑似媒介節足動物として用いたマラリア原虫感染モデル系の開発を行い、マラリア原虫の発育に関与する新規遺伝子群の同定を行った。その結果、マラリア原虫が過増殖する系統として得られたfurrowedとよばれる変異体の原因遺伝子を同定することに成功し、このfurrowed遺伝子がC型レクチン様ドメインを持ち、補体様ドメインを10回繰り返す膜貫通型タンパク質をコートすることを明らかにした。furrowedは固有の媒介節足動物であるハマダラカ(Anopheles gambiae)の中腸においてオーキネートの侵入とともに発現上昇する遺伝子であり、これにもとづきハマダラカfurrowed遺伝子を同定し解析を進めている。ショウジョウバエにおけるFurrowedの詳細な機能解析の結果とともに、Furrowedがマラリア原虫の発育に及ぼす影響とその作用機序について概説したい。
プロフィール:嘉糠洋陸
 2001年大阪大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。理化学研究所・基礎科学特別研究員、スタンフォード大学・日本学術振興会海外特別研究員を経て、2004年より現所属、講師。同年より生研センターPROBRAIN研究代表者、帯広畜産大学原虫病研究センター・客員教授(併任)。研究テーマは病原体を媒介する節足動物の分子遺伝学。
休憩
 
遺伝子操作による病原体を媒介しない昆虫の創出
    −ハマダラカのトランスジェニシス−

  吉田栄人  (自治医科大学・感染・免疫学講座 医動物学部門)
15:30-16:10
血によってハマダラカ体内に入ってきたマラリア原虫は中腸内で受精し、オオキネートとして中腸細胞に侵入する。中腸基底膜上でオオシストを形成し、成熟後、スポロゾイトとして唾液腺に特異的に集積し、感染のために待機している。トランスジェニックハマダラカ (TG)を用いてマラリア原虫のライフサイクルを断ち切るアイデアとして、2つの標的部位が考えられている。第一は、オオキネートの中腸細胞への侵入〜基底膜への到達〜オオシスト形成。第二は、オオシストから放出されたスポロゾイトの唾液腺への侵入である。今回の講演では、(i) 第一の標的部位に関して、非常にユニークな生理活性を有する海洋生物のCタイプレクチンを中腸で発現するTGの作製及びそのマラリア伝播阻止効果、(ii) 第二の標的部位に関して、世界に先駆けて成功したハマダラカ唾液腺に外来遺伝子を発現するTGの作製について発表する。また今後のTG技術を用いたハマダラカーマラリア原虫の生物学的適応性の解明についての展望する予定である。
プロフィール:吉田栄人
 1986年北海道大学理学部化学第二学科卒業、同年日本ゼオン入社、1991-3年、米国農務省附属研究所で世界初の組換えウィルスワクチン(組換え鶏痘/ニューカッスル病ウィルス)の開発に携わった。1997年からは自治医科大学感染・免疫学講座でハマダラカーマラリア原虫の生物学的適応性の解明、マラリアおよび結核に対する新規ワクチンの開発を行っている。
討論 (各演題後に)
〜16:30

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 日本衛生動物学会 
 東日本支部事務局 


 支部長 佐藤英毅
 
 〒210-0823 川崎市川崎区大島5-13-10
      川崎市衛生研究所
      Tel 044-244-5494(直),044-244-4985(代)
      Fax 044-246-2606
      郵便振替口座 日本衛生動物学会 東日本支部 
             横浜 00210-3- 42015

 


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