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東日本支部例会ニュース創刊号
 
1998(平成10)年5月18日
発行者:日本衛生動物学会東日本支部事務局
(支部長・倉橋 弘)
 
 たのしい・ためになる・たまり場の支部例会  (倉橋 弘) 

Tシャツ、ジ−ンズスタイルの支部例会  (小林真次)
 
第33回例会
演者からのメッセージ
 
安居院宣昭

都野展子

益田昭吾
 
編集後記

 たのしい・ためになる・たまり場の支部例会
 薫る5月みなさまにはますますご清祥のことと拝察申し上げます。高知での50回記念大会も盛会に終わりいよいよ今年もスタ−トした感じです。1月より第15期東日本支部長に選出されました、微力ですが前期に池本支部長を中心に築かれました活発な支部活動をこれからもみなさまのご支援をいただきながら進めて参りたいと思っております。よろしくお願い申しあげます。
 最近よく「21世紀は社会から衛生動物学がより多く期待される時代になるだろう」との声を聞きます。新興再興感染症のベクタ−、新旧様々なニューサンス、国外からの害虫の移入など人と衛生動物との関係は多様化して問題も複雑になってきているからでしょうか。東日本支部は巨大都市「東京」をもっています。都市の中の衛生動物管理は相当の努力を要します。これまで注がれた研究者や行政の努力が有効に働いていることで現状の比較的良好な都市生活環境が維持されていることは疑いないことです。都市機能が麻痺するような不測の事態が将来起こるかもしれません。そのようなとき衛生動物の異常発生が疾病の流行を拡大することは歴史が教えるところであります。起こってからでは間に合いません。平常時からの基礎的な研究と対策と訓練が必要であります。このような点で新しい「感染症予防法」の行方が気になります。いろいろと学会のかかえる問題も多いことは確かですが、まず身近なところでできることからやってゆきたいと考えております。支部活動は支部大会と例会の2つが柱となっています。支部大会は会員の身近な研究発表の場として大いに活用していただけたらと考え ます。例会は学会内部に限らず学際的で社会的に開かれた情報交換の場として年2回を計画しています。意欲的な4人のオーガナイザーを中心に「たのしい、ためになる、たまり場」3つの「た」サンタを目指して企画運営してゆきたいと考えております。みなさま多数のご参加をお待ちしております。
(支部長 倉橋 弘)

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 Tシャツ、ジ−ンズスタイルの支部例会
 33回支部例会に臨んで、ヒト・媒介動物・微生物とのかかわり合いを巡り、演者と参加者が自由にざっくばらんな意見交換する場を意図しました。例会前半では、安居院先生ならびに都野先生に時節柄の話題を提供していただきます。そして後半では、長年にわたり病原菌の病原性の解明に従事されている益田先生に話題提供していただきます。益田先生はその著書「病原体はどう生きているか」(ちくま新書)で、病原菌がヒトに病気を起こす意味を巡り臨床細菌学の枠にとらわれず生物学に視点を据えたユニ−クな考察を展開されています。なお、益田先生への講演依頼に際しまして、益田先生と親交のある栗原 毅先生にご紹介の労をとっていただきましたことを、この場を借りて深謝いたします。 さて、今回の支部例会では、その司会進行などで従来とはひと味違った工夫を目下考案しております。講演会の場合とかく教室での授業形式になりがちですが、司会者がフロア−より進行を担うことをはじめ、さらに演者への質疑の際に所属や氏名の名乗りは省き、席までマイクをお届けするなど質問しやすい雰囲気作りに努めたいと思います。さら にはフロア−の司会者が参加者にマイクを向けて、感想や意見を拾いあげたいと思いますので、その際にはご協力をお願いいたします。表題に掲げましたように、Tシャツにジ−ンズスタイルででも気軽に参加していただけ、楽しい雰囲気の中で「ヒト・媒介動物・微生物との関係を考える」一時を共有できればと願っております。あわせて、本学会東日本支部に多くの一般の方々が入会して下さる機会につながるならば幸いに思います。
(第33回例会オ−ガナイザ− 指名幹事 小林真次)

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演者からのメッセージ
イエバエと腸管出血性大腸菌
安居院宣昭(国立感染症研究所・昆虫医科学部)
 成8年の腸管出血性大腸菌(EHEC) O157による感染者は全国で1万人を超えた。現在でも大規模な集団発生の報告こそないが,散発的感染事例は依然として続いており,O157の感染経路は依然として不明な部分が多い。 O157感染と衛生害虫との関わりについては、平成8年10月に佐賀県で O157患者が発生した施設内外から採集されたイエバエからO157が検出されたことが初めての記録である。この発見を契機に、感染研、地研、大学の衛生昆虫学、細菌学の専門家の参画によって,O157集団食中毒現場周辺におけるハエ類の発生源環境調査,イエバエのO157媒介能を知る基礎感染実験、全国規模のO157保有バエの実態調査から成る総合的な研究が実施された。当講演では、このようなハエ類とO157の関連性を解き明すために実施された,我が国における衛生動物学研究におけるエポック・メイキングとも言える一連の研究で得られた成果を紹介し,O157の流行に衛生害虫、特にハエ類がどう関わりうるかについて解説したい。

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キノコの胞子分散戦略とハエ
都野展子(長崎大学熱帯医学研究所・生物環境部門)
 ノコを形成するような高等菌類はリグニンやセルロ−スといった他の生物が利用できない物質を分解する森林生態系に欠かせない菌である。キノコはこれら菌類の繁殖器官であると同時に昆虫類にとっては優れた栄養源であり多数の昆虫がキノコを利用している。講演ではキノコと昆虫の関係をマクロにとらえた後で、特にその共生的な関係に焦点をを当ててみたい。キノコの資源としての安定度という側面から考えて、両極に位置するスッポンタケ類とサルノコシカケ類を材料として取り上げる。まずキヌガサタケの極めて一時的な非種特異的共生関係について報告する。次にサルノコシカケ類の胞子分散期に限られた関係ではあるが、キノコ種のギルドが胞子食性昆虫のギルドを共有することで、相対的に種特異的な安定した共生関係を結んでいることについて報告する。このような共生関係は訪花性昆虫類と被子植物との関係に比べ極めてル−ズな印象を与える。これは資源として一時的で予測しがたいというキノコの特性が反映された現象であろう。

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病原菌の立場から考える細菌の病原性
益田昭吾(東京慈恵会医科大学・微生物学講座第2)
 通、病原菌というと、ほとんど反射的に何故こんないやな奴がこの世のなかに存在するのだと思っても、彼らも我々と同じせいぶつで、彼らには彼らなりのわけがあるのだろうなどとは考えません。実際、多くの伝染病や感染症によって悩まされてきた我々人類が彼らを生物と考えて、その存在を容認したいと思うはずがありません。
 そこで人類は病原菌の存在をなんとか制圧しようといろいろ努力を行ってきました。その結果、今では多くの伝染病や感染症が昔ほどには大きな問題を起こすことが少なくなりました。しかし一方、新しい形の感染症が問題となったり古くからある伝染病が違った形で流行を始めたりもしています。伝染病や感染症を理解するために、彼らの立場に立って彼らが病気を起こす理由を考えてみるのも一つの方法です。このような考え方でいくつかの昔からあった感染症や伝染病のことをいろいろ考えてみたいと思います。

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*** 編集後記 ***
★今期より東日本支部の庶務委員の任にあたることになりました。衛動に入会して5年しかたっていませんので学会の特性、特徴、動向などを勉強しながら任を果たしていきたいと思っております。支部へのご意見、ご要望をどしどしお寄せ下さい。開かれた支部にしていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。(庶務委員庶務 森林敦子)
★この1月に池本前支部長より会計を引き継ぎその内容の健全さに感心しています。引き続き健全運営ができますように会費納入お願いします。(庶務委員会計 林 利彦)

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