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東日本支部例会ニュース第3号
 
1999(平成11)年7月2日(金)
発行者:日本衛生動物学会東日本支部事務局
(支部長・倉橋 弘)
 
 サンタの願い   (倉橋 弘) 

35回例会企画者のねらい   (高井憲治)
 
第35回例会
演者からのメッセージ
 
清水 静

冨岡 敏一

根岸 務
 
編集後記

 サンタの願い
 日本支部の例会は企画してくださる指名幹事と話題を提供してくださる人の持ち味が出て毎回文字通り「たのしい、ためになる、たまり場」となってきているように思われる。新しい方の参加も見られ、その中から支部の会員になってくださる人が出てきた。何事も大勢でワイワイとやると気楽だし、楽しい。また、それがよそ目には活気となって映る。お祭り気分が良いのだと思う。日本のお祭りは「景気をつけろ、ワッショイ ワッショイ」とやってきた。景気の良い悪いは世の常で、そんなことに振り回されたり、一喜一憂していない、江戸っ子の心意気がうれしい。不景気など「塩まいておくれ」である。景気のもとは祭りに見せる庶民の「心意気」なのかもしれない。
 現代の各界の状況は閉塞状態をしめしている。仕事や研究などもますます堅苦しく、機械的になってきている。学問でも息抜きの場がなく、あそびの部分がないのである。素晴らしい発明や発見は心の解放状態の中でインスピレイトされて生まれてくるともいわれている。緊張感の連続ではストレスがたまるだけである。学会の例会も息抜きの場であることが重要なことのように思われる。私もそんな日頃のストレスを解放してくれるような「たまり場」で、しかも、「ためになる」こともある「たのしい所なら」行ってみたい。誰しもそのような例会を願っているのではないだろうか?こう考えると支部長の私に例会に「まだまだあそびごころがたりない」と指摘してくださる人がいるのは多くの人の代表意見かもしれない。ただ、そんな例会を願っていても、私もそうだがそんな例会作りの作者の一人が自分なのだとは気が付かないのではないだろうか。オーガナイザーやスピーカーだけが作者ではない。例会ひいては学会全体の雰囲気は参加者一人一人がもっているものの総和であろう。「サンタの願い」は簡単である。参加者がフロアーからどんどん意見を述べたり、質問したり、休憩時間にはお互いに親しく話しあえる、そんな雰囲気がもっと出てきたらなということである。
(支部長 倉橋 弘)

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 35回例会企画者のねらい
テーマ衛生害虫防除における技術開発
 トの生活領域に入り込んできて害を与える衛生害虫への対処法としては、「駆除」という考えによって、根絶やしにする方法が一般によく知られております。殺虫剤の使用はそのための重要な手段です。しかし、効果を十分に上げるためには、往々にして、使用する範囲をかなり広げることが必要とされる場合もあり、環境汚染の問題、人体への副作用の問題と絡んで、逆に問題を大きくしてしまいます。さらには、殺虫剤耐性系統の出現ということから殺虫剤開発とのイタチゴッコとなってしまい、こうして、この方法は見直しを余儀なくされています。
 また、殺虫剤による駆除は、死骸を環境のどこかに残してしまうため、このことが、色々な意味で無視できない場合もあります。
 そこで、環境からの駆除ということではなく、よりマイルドに、いわば害虫とヒトとの棲み分けができればよい、という、ヒトの生活環境を、最低限侵さないように、ということから、様々な手法が考え出されています。
 また、新しい防除法は、様々な薬剤が開発されることによってもたらされるのみでなく、物理・工学的な技術の進歩が可能にする場合もあります。
 今回ご講演をお願いしました、防ダニ寝具加工技術は、ヒトの住環境へのダニの侵入を阻害し、薬剤を用いる方法に比べ、有利な点をもっています。また、後の2演題は、忌避剤を用いるという、これまで用いられている方法の上に立っておりますが、従来、一時的な効果しか期待できなかった揮発性の問題が克服されているほか、害虫の生態学的研究と結びついた手法が工夫されています。
 いずれも、技術的な点もさることながら、害虫生態学的に興味を引く研究が含まれており、学会員を含めた、害虫防除に興味をお持ちの方々に関心がもてる内容と思われます。多数の方のご参加をおまちしています。
 なお演題2、3は関連しておりますが、
 ○問題の所在、従来試みられた方法の限界、および本技術の利点
 ○本技術に関して、主として害虫生態学的な側面から
 ということでご依頼した経緯があります。また、これらの演題に関する関連情報として以下のWebサイトがあります。
(第35回例会 オーガナイザー 指名幹事 高井憲治)
 「防ダニ寝具加工技術」:
 http://www.yamasei.co.jp/
 http://ns.tjnsys.co.jp/JBB/JBB1/JBB1TR/JBB1TR1/JBB1TR6.htm
 http://www.kirbic.co.jp/
 
 「接触型防虫技術」:
 http://www.panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn980407-2/jn980407-2.html
 http://www.mei.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn980528-3/jn980528-3.html

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演者からのメッセージ
1. 特殊高密度織物を使用の防ダニ技術
  清水 静((株)山清 環境アレルギー研究所)
 梨県の地場産業緞子織物の地に生まれ育ち、それが今、この開発に縁として結びついたのかと思っております。出身地で、染色や織物技術を取得し昭和42年山清織物を創業、平成元年株式会社山清を設立、同年ダニアレルゲンカットの開発に着手、平成8年2月発明の名称防ダニふとんの特許取得、環境アレルギー研究所を開設し10年に及ぶダニ抗原除去法の技術確立と共に医療行政機関の保健所や研究所の協力を頂きながら、国内外の各アレルギー関連学会で発表をさせていただき、ダニアレルギー改善率90%以上の認定を頂くに至っております。特に昨年7月東京都より中小企業創造法の認定、同11月には中小企業庁、同事業団より殺虫剤を一切使用しない防ダニ寝具として優秀賞を頂きました。目に見えない原因抗原除去を確実に行う訳ですので、技術的にもそうでしたが、何よりもふとんでダニアレルギーの90%以上の改善効果を見るという説明商品として未だに苦心しているところであります。臨床をも含めた、10年のデータを持つ防ダニふとんですので、原稿に制約があります。重視していただきたいことは、ダニアレルゲンカットの技術にある特許工法でない限り長期予防と改善にはならないということです。
 
《清水 静氏のプロフィール》
 緞子の産地である山梨県で、織物に関して一貫作業を経験、技術取得。特許製品である防ダニ寝具「ダニアレルゲンカット」を開発し、現在、株式会社山清、環境アレルギー研究所代表として、防ダニ寝具を通し、ダニ抗原除去の重要性を医師、保健所へ向け情報発信を行う。健康住宅研究会(大坂)会員。

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2. 家電製品への接触型忌避剤の応用
  冨岡 敏一(松下電器産業(株)生活環境システム開発センター)
 年家電製品は技術革新と共に小型化が進められている。しかし機器内発熱のための放熱を図るため、底部の空気孔や、ファンの導入など放熱構造も大きく変わってきた。また、リモコンや予約タイマーなど利便性の追求から、待機電力が増加し、機器内の温度が恒温化し、虫の営巣化しやすい環境を作り出している。さらに、小型軽量化に伴う、機器内配線基板の細密化や、マイコン導入に伴う、虫の接触などのパルス的インピーダンス低下による誤動作などと、製品の高度化が新たな課題を生み出している。
 家電分野では、虫の侵入に対して死骸も新たな課題となるため、殺虫ではなく忌避の技術導入が不可欠である。そのための薬剤に対しても単に無臭性だけでなく安全性、持続性の観点から、嗅覚刺激でなく接触刺激による忌避メカニズムを採用した蒸散性の低い薬剤を開発した。
 さらに、忌避薬剤に適した評価法の開発、虫の習性を利用した薬剤の配置技術、薬剤の塗料化など部材加工技術の開発を経て、耐久消費財としての家電製品への応用を試みた。
 
《冨岡敏一氏のプロフィール》
 松下電器産業株式会社に1970年にご入社後、電磁場発光体材料開発、電気絶縁体材料開発に携わられ、1981年より、同社電化研究所・特別開発室バイオチーム主任、1992年より、同社電子化学材料研究所(現在、生活環境システム開発センター)・バイオ応用開発室長として、嫌気性微生物増殖制御技術、植物組織無菌培養技術、無機系抗菌剤・不快害虫忌避に関する研究を手がけられてきました。そのご功績により、大阪工研協会・工業技術賞、日本電気工業会・功労賞などを受けられ、また、科学技術庁・第54回注目発明の選定も受けられました。日本化学会、防菌防黴学会、各会員。工学博士。

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3. 通信機器・家電製品への虫の侵入・定着防止技術
  根岸 務(アース製薬株式会社 研究部)
 電製品では、機器内へのチャバネゴキブリの侵入、定着による被害が潜在的な問題となっている。屋外に設置されている通信機器類においては、アリ類、特にルリアリの侵入によってもたらされる被害が注目されている。前者の場合、ゴキブリの糞等の排泄物による金属腐食や残留した死骸によるショートが故障の主たる原因になっている。後者においては、アリが分泌するギ酸によって銅線の腐食が発生し、通信不良の最も大きな原因と推定されている。自動販売機もゴキブリやアリの侵入が問題となっており、特に紙コップを使用する飲料の自動販売機では飲料への昆虫の混入が発生する。さらに、夏期には自動販売機の光源に飛来する雑多な昆虫が利用者に不快感を与える。これらの機器で問題となっている昆虫の防除剤の開発に際し共通して求められることは、対象害虫を機器内で死亡させず、かつ効力を発揮させる点である。昆虫の死骸が機器内に残留すれば前述のような導通不良の原因をわざわざつくることになってしまう。また、一般の家庭用殺虫剤と異り、1年以上数年間という非常に長期間の残留効果も共通して求められる。加えて、使用場面の特性上、揮散性を有する化合物の使用も好ましくない。これらの点を配慮した上で、有効な活性物質の選択を行い、防虫部材を完成させる為には、目的に合った生物検定方法の開発が重要であり、今回はこれら機器用の防虫部材開発に用いた生物検定方法について報告する。
 
《根岸 務氏のプロフィール》
 京都府立大学大学院ご修了後、大塚製薬に入社され、その後、アース製薬に移られました。現在、研究部・インフォメーション室・室長でいらっしゃいます。農学博士。博士号のテーマは「クワコナカイガラムシの性フェロモン」でした。

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*** 編集後記 ***
★衛動大会が調布市民会館で行われ今年度もスタートしたとの思いです。最近遠のいたかに思われていた昆虫が私たちの生活に入り込んで意外に深刻な影響を与えています。人の思い上がりに警鐘を発しているのでしょう。今回のテーマをみなさんはどのような思いで聞かれるのでしょう。昆虫との関わりを新たに考え直す機会にしようと思っています。(庶務委員庶務 森林 敦子)
★新年度を迎え、所属、住所等の変更のあった方は本部(学会事務センター)への連絡とは別に支部事務局へも変更手続きをお願いします。本部会委員の方も本部だけの変更手続きでは支部の方は旧住所のままになってしまいます。
★引き続き健全運営ができますように会費納入をお願いします。(庶務委員会計 林 利彦)

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