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津田良夫 (国立感染症研究所・昆虫医科学部)
日本衛生動物学会会長(2015~)

 私たちは日常生活の中でいろいろな動物とかかわりを持っています。例えば、生ごみに発生するコバエや台所に出没するゴキブリ、庭先の植込みや公園で刺しに来るヤブカ、飼い犬についたマダニ、夜に飛んできて窓ガラスに止まっているユスリカや蛾、生ごみ収集場所に集まるカラス、庭木に飛んでくるメジロやヒヨドリ、スズメなどの野鳥、他にも植木鉢やプランターの植物の花が咲けば、花蜜や花粉を求めてチョウやハチが飛んできます。これらの動物の中で、病気の伝播に関係している昆虫や動物(媒介動物)、毒を持つヘビやハチ、ドクガのような有毒動物、そしてほとんど実害はないが不快を与える昆虫(不快昆虫)を対象にして、様々な角度から研究が行われています。日本衛生動物学会は、このような衛生動物を対象に研究している人たちの集まりです。

 衛生動物に関して最近問題になった事例としては、2011年3月に起きた東日本大震災被災地におけるハエ類や蚊類の大発生、2013年のマダニが媒介者とされる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者の発見、2014年に代々木公園とその周辺で起きたデング熱の流行があります。このような問題に関係する衛生動物とその被害に対する私たちの理解を深め、また衛生動物による被害を軽減するために、分類学、博物学、遺伝学、生理学、生態学、分子生物学など様々な分野で研究が行われています。そして、研究の成果は毎年行われる日本衛生動物学会の本大会や支部大会で発表され、研究論文は学会誌「衛生動物、英名Medical Entomology and Zoology」に掲載されています。学会誌に掲載された論文にはホームページからアクセスすることができます。

 衛生動物学は重要な研究分野でありながら、研究者の数は年々減少しています。学会発表や学会誌を通じて、多くの人に衛生動物に対する興味を持っていただき、衛生動物の研究に加わっていただきたいと思っています。